版ズレ加工の簡単な方法
版ズレとは、2色以上の多色刷り印刷を行う時に版を重ねて印刷した際、その印刷物の版がズレてしまう状態のことを指します。通常、カラー印刷の工程は4色でそれぞれ別の版を使用し、最後に4色を重ねる事で色を表しますが、版ズレが起こると色が重なる部分の輪郭がぼやけたり、図形の隙間に下地の色が出てしまうといった事が起こります。
デザインとして、輪郭の線と塗りの色をワザとずらすことで、ヤボったい絵がオシャレになったり可愛くなったりします。
今回はこのイラストを使って版ズレ加工してみます。
1.部分パーツのレイヤーを分ける
ズラす必要がないものやズラすとデザインが分かりにくくなるものは、あえてずらさないままにします。ズラさないパーツは別レイヤーに移動しておきます。
ex)今回の場合は、ほお紅とお腹の数字を別レイヤーに移動しておきます。
2.レイヤーを複製する
イラストのレイヤーを1枚複製し、「線用レイヤー」と「色用レイヤー」に分ける。
「線用レイヤー」が上のレイヤーになるようにする。
次の作業のために、「線用レイヤー」以外は非表示にしておく。
3.「線用レイヤー」の塗りをすべて白にする
線用レイヤーの絵の塗りをすべて白色にする(白色を塗る)。
※ライブペイントツールで色を塗っている場合は、ライブペイントを解除して線も元の太さにして整える。
眉毛やシワなど元々色のついていない線だけのパスは塗らない。
ex)今回の場合、3匹の足に塗りを適用しない(塗らない)。
4.「線用レイヤー」のパスをアウトライン化する
「オブジェクト」メニュー>「パス」>「パスのアウトライン」
でパスにアウトラインをかける。
5.「線用レイヤー」のパスを刈り込む
「パスファインダー」パネル>「刈り込み」
で「刈り込み」をかけて、見えていない部分のパスを消す。
6.「線用レイヤー」の画像を乗算にする
「透明」パネル>「乗算」にしておく。
次の作業のため、「色用レイヤー」を表示させ、「線用レイヤー」を非表示にする。
7.「色用レイヤー」の余分な線を削除する
色の塗り部分だけを残して、線だけのパーツは削除する。
ex)今回の場合、足は塗りがない線なので削除する。
8.「色用レイヤー」の線を削除する
「色用レイヤー」の線を全て消して、塗り部分だけ残す。
※ライブペイントがかかって削除がうまくいかない場合は、「オブジェクト」メニュー>「ライブペイント」>「拡張」
をしたのち、「パスファインダー」パネル>「分割」 をかける。
9.「色用レイヤー」の色を調節しながらずらす
全てのレイヤーを表示し、「色用レイヤー」以外はロックをかける。
「色用レイヤー」のパスを全て選択し、「変形」パネルや「↑→↓←」キーで好みのずらしをかける。
ずらしが少し過ぎると、線に埋れて目立たなかったり、逆にずらし過ぎると分かりづらい絵になってしまったりするので、様子を見ながら適度にずらしてください。
10.完成!!
線の色を変えてみたらイメージが変わります。
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